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ホタルといえば暑い夏の夜に飛ぶイメージがあるが、実際に彼らが飛ぶのは梅雨のジメジメした時期だ。
ここに写る彼らは 「ヒメボタル」という種で、日本を代表するゲンジボタル、ヘイケボタルに比べ、その名を知る者はまだ少ない。
ヒメボタルは先に上げた二種に比べ、専門家ですら知らない生態が多い。
大きく分けて飛ぶ時間帯は日没型と真夜中型に分けられ、地域特異性が高い。それが餌のせいなのか環境のせいなのかはわからない。
ちなみに「彼ら」と性別をつけて呼ぶのは、飛翔するホタルはオスだからである。発光こそするものの、メスは羽が退化しているので飛べない。
5月下旬のまだ梅雨に入る前から彼らは飛び始める。ホタルの発光は恋の印だ。オスは発光をしながら、地上で発光し続けるメスを探す。
撮影を続けていると飛んでいるオスが、すーっと地上に降りてゆくことがある。降りた先に光る発光が二つになると、やがてそれは消えてゆく。。
生涯ただ一度の恋。
「上さんのホタルは淡雪の様だ。」
毎年撮影でご一緒する写真家さんが静かに隣でつぶやいて、彼らの光はまた一つ消えていった。
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